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クラウドサインのデータ分析基盤を運用していくための体制改善 - データマネジメント勘所#4 イベントレポート

こんにちは。クラウドサイン事業本部 SREチームの高橋です。 普段はSREとして勤務する傍らデータエンジニアとしても働いています。

今回、2024年5月14日(火)に開催された「TECH PLAY主催:primeNumber | 弁護士ドットコム|キャディ|コミューン共催イベント」にて第1セッションで登壇させていただきました。

techplay.jp

セッションでは データ分析基盤の体制改善 について発表しまして、その内容をブログでも共有します。

セッション情報

セッションタイトル

クラウドサインのデータ分析基盤を運用していくための体制改善 - 片手間でも効率的にデータ分析基盤を運用するカギは体制改善にあった!?

セッション資料

登壇資料はSpeakerDeckに公開しておりますので、こちらからご参照ください。

セッションの内容

データ分析基盤の運用課題

データ分析基盤の運用課題について説明するスライド(P.18)。データ分析基盤の運用課題では「運用・保守業務の作業負担」、「方向性と実態のズレ」「利活用の減少による衰退」が課題となっている。これらの課題が信頼性や安定性の低下、データ分析利用者の信用や生産性の低下といった悪影響となっている。

クラウドサインのデータ分析基盤運用にはいくつかの課題がありました。
その課題が 信頼性と安定性の低下利用者からの信用や生産性の低下 といった悪影響を及ぼしていました。

(課題)

  1. 運用・保守業務の作業負担
  2. 方向性と実態のズレ
  3. 利活用の減少による衰退

体制改善の3つのアクション

改善ACTION 1: 状況管理ができるチームを構築

「状況管理が出来る」チームを構築について説明するスライド(P.25)。運用チーム体制の改善として、実務担当を管理・評価するマネージャーを配置し、各担当の役割を明確にすることでチーム全体で負荷分散を可能にしたことを説明している。

  • 課題:
    • 運用担当者が役職を兼務しており多忙であったため、突発的な依頼や大規模な改修に対応できませんでした。
    • 運用チームにマネージャーがおらず、運用状況が管理・評価されていませんでした。
  • 取り組み:
    • 各担当の役割を明確にすることで、チーム全体で負荷を分散する体制にしました。
    • マネージャーを配置して実務担当を管理・評価することで、逼迫状況をコントロール可能にしました。

改善ACTION 2: ズレたチーム目標の再設定

ズレたチーム目標の再設定について説明するスライド(P.36)。再設定したチーム目標として「分析ニーズに応えられる「体制をつくる」」を掲げて、1つ目、利用してもらうことが前提の目標に。2つ目、利活用のための質問や相談を受ける、拾っていく。というアクションに焦点をあてた

  • 課題: データ分析基盤の目的を達成するためのチーム目標が、分析基盤の運用・利用の現状と合っておらず、目標が空振りに終わる懸念がありました。
  • 取り組み:
    • チーム目標を再設定し、現状や今のチームの観点に合わせた目標に調整しました。
    • 新しい目標では分析ニーズに応えられる体制をつくることを目指し、利用者の期待に沿ったデータ基盤の提供に焦点を当てました。

改善ACTION 3: 特定のチームへの分析支援

特定のチームへの分析支援について説明するスライド(P.45)。取り組み後の効果として事例を見た他の利用者から相談が来るようになったことや、横のつながりから、利活用したいニーズをキャッチできるようになった。これにより、次なる利活用の促進につながった。

  • 課題: ビジネスサイドでのデータ利活用が進まず、データ分析基盤への期待値が低下していました。
  • 取り組み:
    • 特定の利用者と基盤活用のためのコミュニケーションを図り、具体的な分析ニーズに応じた支援を行うことで、相互理解を深めました。
    • 具体的な例として、事業戦略を立案する部署と連携し、利用状況の可視化のニーズをヒアリング、ログイン回数・日時の分析を行うためのデータマートを作成しました。

改善後の運用について

データ分析基盤の運用課題が改善されたことを説明するスライド(P.48)。運用チーム体制を段階的に改善し課題解消したことで、悪影響が起きづらくなり、関連業務の「リードタイム短縮」や「割り込みタスク対応」、「展望・要望の実現」に繋がったことが述べられている。

リードタイムの短縮

データ転送フローの最適化やインフラ改修を行ない、データ転送時間が数時間短縮されるなど大幅なリードタイムの短縮を実現しました。

割り込みタスク対応

チーム体制の改善による余裕から優先順位を調整でき、割り込みタスクが発生した際にもスムーズに対応が可能となりました。

展望・要望の実現

BIツールのパフォーマンス改善や新しいデータ連携の調査・検証、新たなニーズに応えるための体制強化ができ、今後の信頼性や生産性向上の種まきができました。

まとめ

本セッションのまとめを説明するスライド(P.51)。データ分析に関する運用課題に直面しても、段階的にチーム体制を改善すれば十分に運用できるという学びを得たことが強調されている。

今回のセッションでは、データ基盤運用の効率化における体制改善の重要性を強調させていただきました。具体的な事例を通じて、データエンジニアリングの実務における有用なヒントを共有できたと思います。今後も、これらのベストプラクティスを活用し、さらなる改善を目指していきたいと考えています。 お読みいただきありがとうございました。