弁護士ドットコム株式会社 Creators’ blog

弁護士ドットコムがエンジニア・デザイナーのサービス開発事例やデザイン活動を発信する公式ブログです。

地域防災から学ぶ平時の備え

地域防災から得た学びを共有しようと考えている筆者のようす

この記事は弁護士ドットコム Advent Calendar 2023の 12 日目の記事です。

前日は @naito1224 さんの「弁護士ドットコム 本気音楽部 誕生 LIVEもあるよ」でした。


弁護士ドットコム事業本部 エンジニアの鈴村と申します。

プライベートで地域防災のコミュニティ活動に携わっています。この記事は防災士の勉強ときっかけのはなしの続編で、地域防災から得た学びを共有します。

災害時の特別な配慮

私が住む石川県金沢市では、校下(小学校の通学区域)ごとに自主防災組織が運営され、災害に備える活動をしています。行政の協力をもらいながら、避難所の開設や運営も住民が主体的に行います。

新人防災士の研修では、テントやパーティション、簡易トイレの組み立てを体験します。進んだ研修では、避難所の部屋割りや用途をシミュレーションします。部屋割りの対象はさまざまです。災害対策基本法は「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」を「要配慮者」と定めています。特性に合わせた避難生活の支援を考える必要があります。

簡易トイレについて説明している写真。説明者は子ども向けにウンチの帽子を被っている。防災用のテントを説明している写真。使用中なので開けないでね、という標識について説明している。危機管理センターで子どもに説明をしている写真。大きなモニターに防災関係の情報が表示されている。
地域防災の活動のようす。写真の引用元:かなざわコミュニティ防災士ネットワーク

普段は自立している人でも、長期の避難所の生活では一時的に配慮が必要になることもあります。2016 年の熊本地震では災害時のストレスや環境の変化により健康を崩したり、認知症の症状が悪化する人もいました。状況による制約や障害もあるため、特別な配慮は個人の特性だけに限りません。

バイアスを解消する

石川県の防災士を対象としたスキルアップ研修会に参加しました。この中で津波災害リスクに関するセクションがありました。以前に津波のメカニズムや東日本大震災時の正常性バイアスの影響について学んだ経験はありましたが、地元の津波災害についての知識はありませんでした。

でも北陸は日本海側だから津波災害のリスクは低いよな…と、ひとごとのように聞いていました。ところが「日本海における甚大な津波被害一覧」に金沢の被害*1がドドーンと載っているのを見て、はずかし〜これがバイアス〜となりました。堂々と最前列の席に座っていたので恥ずかしさ倍増です。

講師は「少ないと思うでしょ?」という口調だったので、少ないと思う人が多数派なのでしょう。防災に関わらず、誤った認識や偏見を正してくれることは非常にありがたいことです。

平時の備え

私が家の真下にある森本・富樫断層帯は今後 30 年以内に 2〜8 %の確率でマグニチュード 7.2 程度の地震が予想*2されています。こわいですね。

最近参加した研修会で、この断層が起因する地震の被害想定について学びました。複数の震度の被害予想マップを見ても、一般市民(少なくとも私)はどう考慮していいかわかりません。リスクがあることはわかります。行政が作成する被害想定やハザードマップは主に行政の防災計画策定用に作られており、一般市民向けではないため、理解するのが難しいのです。

一方で、地域によっては水災害や雪害などの進行型災害に対処するため、マイ・タイムライン(避難行動計画)を作成し、具体的なリスクに備えています。わかりやすくて助かります。しかし、地震などの突発型災害に対しては事前に行動を計画することは困難です。「恐怖は常に無知から生まれる」という言葉があります。災害自体の恐怖もさることながら、何をすべきかわからないという無知がさらに恐怖を増幅させます。できるだけ多くの知識を身につけ、恐怖に立ち向かいたいです。

おわりに

地域防災は社会貢献活動として意味のあるものですし、学びを仕事に活かせる感覚があります。オススメです。

明日のアドベントカレンダーは @astkhs さんの「イマジナリー猫と暮らしたい」です、楽しみ〜。

*1:参考:地震調査研究推進本部 石川県の地震活動の特徴 | 地震本部

*2:出典:地震調査研究推進本部 森本・富樫断層帯 | 地震本部