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エンジニアは Deep Research をどう活かせるか

クラウドサイン事業本部でエンジニアをしている辻@t0daaayです。

ChatGPT の Pro プランのみで利用可能だった Deep Research 機能が Plus, Team, Edu, Enterprise プランにもリリースされ、大きな話題を集めています。

この機能は o3 モデルを基盤にしており、膨大なテキスト・画像・PDF をインターネット上で検索・解釈・分析し、途中で得られた情報に応じて方針を変えながら包括的なレポートを作成できるというものです。

この記事では、エンジニアである私が約 1 ヶ月間 Deep Research を使ってみて、特によかった使用例を 2 つ紹介します。既存の search 機能と比較し、Deep Research でどのように出力結果が改善されたかを見ていきます。


1. 技術調査

クラウドサインでは、Vite と Vue を使って UI コンポーネントライブラリを開発しています。MPA 形式のページが多いため、CSS ファイルをページごとに個別にインポートする必要があります。これが手間となっているため、CSS を JS にバンドルする方法を検討するべく、Deep Research に調査してもらいました。

入力プロンプト:

vite, Vue で UI コンポーネントライブラリを作成しています
webpack のように css が js にバンドルされないため、バンドルされるようにしたいです
方法を調査してください

search(4o)

回答結果

課題を適切に理解できず、ハルシネーションが発生してしまいました。

Deep Research

回答結果

課題を正確に理解し、いくつか適切な解決方法を提示しています。想定していたプラグインの提案だけでなく、そのデメリットや別のアプローチまで示してくれました。
また事前に存在を知っていたプラグイン以外のものも提案してくれた点は非常に驚きでした。


2. カンファレンスのプロポーザルの案出し

TSKaigi という技術カンファレンスに向けて、次回のプロポーザルを通すためのネタを考えてもらいました。search と Deep Research、それぞれに調査を依頼しています。

入力プロンプト:

TSKaigi という技術カンファレンスの過去の全セッション内容を確認し、その傾向を踏まえて次回のプロポーザルが通りそうなネタを考えて提案してください

search(4o)

回答結果

内容自体は悪くないのですが、回答の根拠が弱く感じられました。

Deep Research

回答結果

search と比較して明らかに出力内容のクオリティが高く、採択されやすいセッションの特徴や頻出キーワード・技術要素などを詳しく分析・整理してくれました。納得感のある回答内容になっていると感じました。


所感とまとめ

従来の ChatGPT にはすでに search 機能があり、Web ページ上のテキスト情報は検索可能でした。
しかし、新たに登場した Deep Research では大量の Web ページからテキスト以外の情報も収集し、ステップごとに比較検討しながら回答を提供できるようになりました。
その結果、search では得られなかった情報に的確に対応し、期待を上回る出力を得られることが確認できています。Deep Research によって、これまで人間が主導していた調査タスクが大幅に高速化され、従来はたどり着けなかった情報にもアクセスできるようになりました。
一方で、回答出力までの時間の長さが気になりました。私の使い方では 5 分から 15 分程度の待つ場合が多かったです(公式には 5 分から 30 分かかると記載されています)。
実際に使ってみて、エンジニアの仕事のあり方を大きく変える機能になると実感しています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。