
本記事は 2025 年度に入社した新卒全員による共同執筆です。
はじめに
私たちは、4 ヶ月にわたる新卒エンジニア研修の軌跡を振り返る記事を、前編・後編に分けてお届けしています。 前編記事(チーム開発/SRE 室研修編)は、もうご覧いただけたでしょうか? 前編では、プロダクト開発のプロセスを学んだ「チーム開発研修」と、全社のサービスを支えるインフラを学んだ「SRE 室研修」についてご紹介しました。
まだの人は、前編記事をぜひ見てください。
後編となる本記事では、研修の集大成とも言える「事業部仮配属研修」について詳しくご紹介します。
私たち新卒エンジニアは、SRE 室での研修後、3 つの事業部(弁護士ドットコム事業部、税理士ドットコム事業部、クラウドサイン事業部)を、約 1 ヶ月半かけて巡り、実務に近い形での開発研修に臨みました。
各事業部でどのような課題に取り組み、どのような技術に触れ、そして何を感じ何を学んだのかを、具体的にお伝えします。
研修した事業部先の技術スタック

| カテゴリ | CloudSign | 弁護士ドットコム | 税理士ドットコム |
|---|---|---|---|
| Backend | Go Revel / Echo |
PHP / Yii / Go | PHP / Yii / Laravel |
| Frontend | TypeScript / JavaScript Vue.js / Nuxt |
TypeScript / JavaScript React.js / Next.js |
TypeScript / JavaScript Vue.js / Nuxt / PHP |
| Infra Architecture | AWS ECS / Terraform | AWS ECS / Terraform | AWS ECS / Terraform / OpenSearch |
| Database | Aurora MySQL | Aurora MySQL | Aurora MySQL |
| Monitoring | CloudWatch Logs / DataDog | CloudWatch Logs / DataDog | CloudWatch Logs / DataDog |
| ソースコード管理 CI / CD |
GitLab GitLab CI / CodeDeploy |
GitHub GitHub Actions |
GitHub GitHub Actions |
| Communication | Slack / esa.io / JIRA / FigJam | Slack / esa.io / JIRA / FigJam | Slack / esa.io / JIRA / FigJam |
| 開発支援 | GitHub Copilot, NotebookLM, Cursor, Cline, Devin, Claude Code | (同左) | (同左) |
弁護士ドットコム事業部研修(執筆担当:堀川)
弁護士ドットコム事業部研修は 2 週間行われました。
研修の特徴
2 週間の中で実際の開発チームの一人となり、スプリントを走り、開発・レビュー・デプロイといった一連の開発フローを学びました。その中では業績指標の確認や事業部レベルの会議、事業部全体の改善活動など、既存社員とほとんど変わらない業務内容を経験しました。
チーム配属
それまで 2 ヶ月ほど一緒にいた新卒メンバーと離れ、一人一チームという割り当てで、寂しさを感じながらもメンターを担当してくださった社員の手厚いサポートをふんだんに受けることができました。
実際の業務の難しさ
実際に業務に入ってみると、事業部として多くの施策が駆け巡っており、並行して開発しつつも本当にお互いに影響を与えていないか、という恐怖とともに作業を進めることとなりました。
また「良い」コードと「動く」コードをどう分け、どう書き残し、どう未来に伝えていくかを考えながら実装するという、真の業務の難しさを経験することとなりました。
歴史あるコードとの向き合い
2 週間の多くをコード理解に割き、歴史あるコードの理解の難しさを痛感しました。弁護士ドットコム事業は 20 周年(※執筆当時)を迎えるほど歴史のあるサービスで、それにより新卒視点ではとてつもなく複雑で難しいコードベースが誕生しています。
特に多くの「整理を試みた」痕跡を残すディレクトリ構造や、歴史とともに積み上げられたデータベース構造は、単なる「複雑さ」ではなく、サービスを成長させ続けることの現実的な難しさを私に教えてくれました。
こうした「整理の試みと現実」については、以下の先輩社員の記事でも詳しく触れられています。私たちが目にしたコードの背景にあるストーリーを知ることができるので、ぜひ合わせてご覧ください。
さらに、ちょうど今年から新たなレガシーコード改善も始まっています。 以下の記事では我々が歴史あるコードをどのように改善し始めているのかが語られているため、こちらも合わせてお読みいただければと思います。
チーム開発の魅力
実務の難しさや長い歴史に頭を抱えた一方で、チーム開発にフォーカスをすると、多種多様な視点から飛び交う意見の面白さや仕事へのモチベーションの違いなど、良い意味で"人の違い"を感じることができました。 面白く楽しい 2 週間を過ごすことができたと感じています。
実施した業務内容
筆者が仮配属された Growth チームでは弁護士検索システムの改修として、軽微な UI のバグ修正から、施策に関わる UI 変更、さらには新たな施策のための調査といったタスクを担当しました。 これらのタスクを実施する中で筆者ははじめて PHP に触れましたが、それ以上に歴史あるコードの意図理解、環境理解とそれらの改善を考えることが大変だったように感じました。
学んだこと
他にも確認することの大切さや報連相の大切さなどを身を持って体験できました(メンターさん、ご迷惑をおかけしました……)。
多くの辛さや不甲斐なさを感じた研修でしたが、自分の実装した要素が実際のサービスにリリースされ、多くの人に届けられたという体験は大変嬉しいものでした。
税理士ドットコム事業部研修(執筆担当:千木良)
研修の概要
税理士ドットコム事業部の研修は 1 週間でした。1 週間の事業部研修では、実際のプロダクトコードに触れながら軽微な改修タスクに挑戦し、コードレビューを受け、本番環境へデプロイするという一連の開発フローを実践的に学びました。
開発作業と並行してデイリースクラムや振り返りといったスクラムイベント、チーム内の勉強会にも参加しました。スクラムイベントへの参加ははじめてで、議論のすべてを理解することはできませんでした。しかし、開発チームがどのようなサイクルで開発に取り組み、ビジネス側とどうやってコミュニケーションをとっているのかを肌で感じられたのは、貴重な経験でした。
実施した業務内容
研修では社内向け管理画面のリプレイスに取り組みました。 具体的には、PHP フレームワーク移行プロジェクトの一環として一部 API の置き換えを担当しました。
今回のタスクではじめて PHP に触れましたが、AI コーディング支援ツールを活用することで効率的に開発を進めることができました。ただし生成されたコードを鵜呑みにするわけにはいかないため、意図や背景を自分で理解しながら品質担保に注力し、最終的な成果物には自分が責任を持てる状態を目指しました。
研修を支えてくれた、メンターの温かいサポート
研修序盤の環境構築で問題が発生した際、メンターの方にサポートしていただきました。自分一人での解決が難しい状況でしたが、メンターが時間を確保し、問題の原因特定から解決まで一緒に取り組んでくれたおかげで、無事にタスクを完了できました。
この経験を通じて、税理士ドットコム事業部の手厚いサポート体制を実感しました。分からないことがあっても気軽に質問でき、親身に対応してくれる「頼れる先輩」がいるため、配属後も安心して業務に挑戦できると感じました。
クラウドサイン事業部研修(執筆担当:筒井)
クラウドサイン事業部研修は、今回の研修の中で一番長い 3 週間にわたって実施されました。この研修では、クラウドサインを用いた業務フローの理解から実際のスクラム開発まで、幅広い学習を行うことができました。
最初の 1 週間は、主にオリエンテーション動画の視聴や社内ドキュメントの読み込みを行い、クラウドサイン全体の概要や技術の基礎的な部分を知ることができました。また環境構築を行い、ローカルで契約書の送信から締結まで触ってみる機会があり、クラウドサインというプロダクトへの理解を深めました。コードを見ながらどんな処理が行われているのかを見ることもでき、非常に勉強になりました。
実施した業務内容
2 週目からは、バックヤードと呼ばれるクラウドサインの社内ツールの開発を行いました。簡単な UI の修正から始まり、検索機能の開発やテストの追加などを行いました。
徐々に複雑なタスクを担当する中で、MR の粒度やタスク分解をすることによってレビュワーへの負担が減ったり、作業効率が上がったりすることを学べたので、実際の業務に入っても意識していこうと思いました。
一連のスクラム開発を通して、内容に応じて誰に相談すべきか・エスカレートすべきかを考えることの重要性を知りました。また、自分だけでなく、周囲の人が発した質問や相談から学べることもたくさんありました。そういった質問や相談を見逃さず、すぐに自分のタスクに取り入れられるように、広い視野で業務に取り組むことが大切だと感じました。
さらに、研修期間中は業務だけでなく、EM の方々になんでも聞ける会を毎週開催していただきました。クラウドサインのエンジニア組織がどのような環境で何を大切にし、どう前に進もうとしているのかを実感できました。今は成熟したサービスを安定運用させていくことだけではなく、まだまだ挑戦していくというフェーズで、個人の学びとプロダクトの成長の両方を大切にしている空気感が印象的でした。また EM の皆さんのキャリアについてもざっくばらんに聞くことができました。私たち新卒にとって、今後のキャリアを技術スペシャリストとして深めていくのか、あるいはマネージャーとしての道を歩んでいくのかのような将来のキャリアを具体的に思い描く良いきっかけになりました。
またクラウドサインの事業統括部長から、ビジネスの観点でのお話も伺いました。エンジニア組織にとどまらず、ビジネスサイドを含む事業部全体の雰囲気もつかめました。今後のクラウドサインの成長に向けて必要なことや乗り越えるべき課題についても共有いただき、私たちもその成長の一端を担えるのだと身が引き締まる思いでした。市場やお客様の期待にどう応えていくのか、何をどう取捨選択し意思決定するのかといった視点にも触れ、一エンジニアとして技術だけでなく、ビジネスのことも考えて価値を届ける重要性をあらためて実感しました。こうした背景を知れたことで、日々の学びや開発の 1 つ 1 つに、より強い目的意識を持って臨もうという気持ちが高まりました。
新卒研修の感想
Bhujel
4 ヶ月間のエンジニア研修は一区切りとなりますが、エンジニアとしての学びの道はここからが本番だと感じています。この研修で得た知識や経験、そして何よりも「学び続ける姿勢」を忘れずに、現場での業務でも謙虚に学び、積極的にチャレンジします。
もちろん、研修では学びだけでなく、多くの失敗や、自分にまだ足りていない部分にも気づきました。これからは、その不足や改善点を意識し、一つひとつ積極的に克服していきたいと思います。
堀川
今回の研修ではチーム開発の難しさを痛感しました。これは、実際に書いたコードを見て使う人が自分だけではなく、自分の考えの及ばない多くの人が関わるものだというのを深く感じたからです。
既存のコードベースに合わせた実装や合意形成の取れたシステム設計など、丁寧なコードレビューや多くのミーティングを通し、考えを擦り合わせることの大変さとその難しさを学ぶことができました。
知識一辺倒な学生であった自分からすると、実際の業務へ入る前にこのような人間関係の大切さや業務の難しさを学べたことが、今回の研修の一番の良さだったのではないのかなと感じています。この経験をもとに、よりよい技術者を目指して日々の業務を進めていきたいです。
千木良
今回の研修で一番心に残っているのは、メンターの皆様がとても優しかったことです。
特にレビューが丁寧で、なぜこうした方が良いのかを根気強く教えてくださったおかげで、本配属への不安がすっかりなくなりました。任せていただいたタスクも「期間内に終わるか、終わらないか」というギリギリのラインで、この挑戦が自分を大きく成長させてくれたと感じています。
業務だけでなく、お昼ご飯や隙間時間にエンジニアの皆さんとお話しできたことも、とても良い経験でした。他の事業部が抱えている課題や仕事の魅力など、リアルな話を聞くことができ、本当に有意義な時間でした!
金子
弁護士ドットコムの新卒研修では、プロダクト開発を支えている一線級のエンジニアが直接講義やメンタリング・コードレビューを行ってくれました。そのおかげで、単なる技術だけでなく業務への向き合い方といったメンタリティも成長できたと感じています。
事業部研修では、事業部ごとのカルチャーの違いを窺い知ることができました。先輩エンジニアから学んだこと・各事業部で経験したことを今後の業務に活かし、より良いサービス・エンジニア組織を作っていけたらと思っています。
筒井
この新卒研修では、言語の基礎から個人開発・チーム開発、そして事業部研修では要件定義からリリースまでを体験でき、非常に実りある 4 ヶ月間でした。
当社のエンジニアから手厚いフォローを受けながらさまざまな課題に取り組み、先輩エンジニアからのコードレビューを通じて大きく成長できたと思います。また事業部研修では、別のチームのエンジニアやデザイナーの方ともコミュニケーションを取りながら業務を進める楽しさを実感できました。 この研修で得た知識と経験を活かし、今後の業務でもさらなる成長を目指していきたいと思います。
まとめ
4 ヶ月間の新卒研修を通じて、私たちはエンジニアとしての基礎を築き、チーム開発の難しさと楽しさ、そして実際の業務の現実を学びました。
主に学んだことは以下のとおりです。
- チーム開発におけるコミュニケーションの重要性
- 技術的なスキルだけでなく、業務への向き合い方の大切さ
- 歴史あるコードベースとの向き合い方
- 各事業部のカルチャーと技術スタックの違い
- 継続的な学習の重要性
今後の目標
この研修で得た経験を糧に、ユーザーに価値のあるサービスを届けられるエンジニアとして成長していきたいと思います。またチーム開発で学んだ協調性やコミュニケーション能力を活かし、より良いエンジニア組織の構築に貢献します。
新卒研修は終わりましたが、エンジニアとしての学びの道はここからが本番です。これからも謙虚に学び、積極的にチャレンジしていくことを誓います。


