この記事は、弁護士ドットコム Advent Calendar 2024 の 10 日目の記事です。
こんにちは、クラウドサインの機能開発で主にバックエンドのコードを書いている山下です。 クラウドサインでは機能開発を行うチームが複数あります。 私はそのうちの一つで今年の4月からスクラムマスターと開発ロールを兼任することになりました。 本記事では、はじめてスクラムマスターを務めるにあたって実際に取り組んで良かったことや学びなどを記載します。
少しでも参考になれば幸いです!
スクラムマスターになった背景・チームの状況
クラウドサインでは今年の4月に組織変更があり、チームの再編成が行われました。 その際、新チームでのスクラムマスターを募集していたので立候補し務めることになりました!
新チームの構成は以下の通りです。
現在はメンバーの数が減り当初よりもコンパクトになっていますが、当初は新規メンバーや業務委託が過半数を占める状態でスタートしました。
私たちは新規機能開発と並行してチームビルディングなどを行っていきましたが、そのなかでやって良かったこと、意識して良かったことを書いていきます。
やって良かったこと
チームメンバーとスクラム本の輪読会を行う
新しいチームでは、スクラムに関する経験や持っている知識がバラバラでした。そこで、スクラムの知見を深めることを目的として有志で輪読会を開くようになりました。 スクラムに関する本ということで、初めはSCRUM BOOT CAMP THE BOOKから読み始めました。
輪読会を開催したことでメリットが複数ありましたが、個人的には以下のことが最も大きいメリットでした。
- 同じチーム内で同じ目線・コンテキストを持って、チームで新しい取り組み・カイゼンをはじめることができる
- 一人の時よりもワクワクしながら行動できる
以下は直近輪読会で話した内容です。 画質の問題で付箋の内容までは見えませんが、書籍の内容を元に一人で悩むよりも同じ熱量のメンバーと一緒に議論できるのはとても楽しいです。
輪読会には全員が参加しているわけではありませんが、チーム内で同じ目線のメンバーがいるといないとでは、何かを始めるハードルがぐっと下がります。 参加者にチームリーダーがいるのも大きく、チームリーダーと一緒に学んだ内容をもとにチームビルディング・カイゼンに取り組むことができました。 これだけでも輪読会をやって良かったと思っていますが、他にも色々なメリットがありました。
- メンバー同士の関係値を深められた
- スクラムに関するノウハウなどを学ぶ際、メンバーの経験も共有してその人がどのように働いてきたかを知ることができました
- クラウドサインに在籍して長いメンバーもいたため、別チームではどのように活動していたかなど、会社での働き方を学べました
- 今のチームで開催しているスクラムイベントやチームの健康状態について話し合え、前向きな議論が行えている
- 今のチームがうまく回っているのか
- チームとしてどのようなことをもっと目指していきたいか...etc
輪読会で扱った書籍はどれも多くの学びがあり、良かったので紹介します。
- SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発
- アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット
- ゾンビスクラムサバイバルガイド 健全なスクラムへの道()
元々チームのふりかえりにはKPTを利用していましたが、ふりかえりガイドブックを読んで新しい手法を試すようにしました。以下の画像は実際にチームのふりかえりに利用しているボードです。 まだ手法を変更して日が浅いのでメリデメは整理できていませんが、新しいことにチャレンジ・学びがある状況でとても楽しく感じています。 もっと色々な手法を知ってみたい・ふりかえりの目的をメンバー間で認識合わせをしたい方ははぜひ読んでみてください。
画像内のふりかえり手法に関する画像について(ハピネスレーダー、小さな改善アイデア) 出典: アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット
メンバーと話す場を設ける
不定期ですが、チームメンバーと1on1などで話す場を設けるのはとても良いことでした。
クラウドサインでは基本リモートワークのため、オフラインの時よりも社員同士で喋る機会が少ない状況です。 今のチームでは、チームリーダーと各メンバーが毎週1on1をやっていますが、スクラムマスターの私は他のメンバーと自由に話す機会は少ないです。
実際に話す場を設けると、以下のような良いところがありました。
- メンバーが思っていること(スクラムイベントや今開発しているプロジェクトでモヤモヤしていることやもっとカイゼンしたいこと)などを知れた
- 関係値を深められた
- チームメンバーの考えから、チームとしての新しい取り組みや気づきを得るきっかけになった
スクラムマスター同士で意見交換会を開く
クラウドサインでは開発チームが複数あり、チームごとにスクラムマスターがいます。 元々月一でスクラムマスター同士が話し合う会が設けられており、私もスクラムマスターになったことでその会に参加するようになりました。
その場では色々な気づきがあり、スクラムマスター同士で話し合う場があると以下のようメリットがあるのでとてもおすすめです。
- さまざまな気づきを得ることができる
- 各チームで実践して良かったこと・学び
- 各イベントをどのように進めているか
- 現状感じているもやもなどを共有・相談できる
- 自チームに閉じるだけでなく、周りにも影響を広げるきっかけとなる
自分一人・自チームに閉じるのではなく、仲間を増やし他のチームにも影響があるようなコミュニティを作れるのは組織全体にとっても良い影響になると考えています。
チームのルールなどを明文化しておく
今のチームではワーキングアグリーメントやスクラムイベントごとの目的を記したものをドキュメントとして残しています。 明文化する場所があることによって、以下のようなメリットがあります。
- ふりかえりで出たマインド面に関すること、継続してチームとして取り組んでいきたいことを残していくことができる
- 発散して消えない
- スクラムイベント・ミーティングの冒頭で、目的の認識合わせが行いやすい
- 目的について認識合わせを行うことで、イベントごとの着地点が明確になり、全員がそこに向かって議論がしやすくなる
- 今のチームではファシリをランダムbotで指名しているため、ファシリにとっても優しい状況が生まれています
- 新規メンバーがジョインしやすくなる
- チームがどのように活動しているのか、スクラムイベントをどのように行っているのか理解しやすくなります
意識して良かったこと
事前に全てを知っておくこと・コントロールすることは不可能
何かを始める前にできる限り考えて、行動に移そうとして時間がかかってしまう、ふりかえってみると「あの時こうしていれば良かった」など反省してしまうことが私は多く、それによって気分が落ち込んでしまうことがあります。 ふりかえると「あれは仕方がなかったのでは?」と思ってしまう反面、「なんとかできたのではないか」など色々なことを考えてしまいがちです。 チームでの活動・輪読会などの経験を通じて考えを以下のように改めることで、動きやすく良い方向に行動を起こせていると感じています。
- その時のチーム・状況によってコントロールできないこと、不測な事態はどうしても発生する。
- 事前に全てを知り、コントロールすることは不可能なので、なるべく早く行動にうつしフィードバックをもらう(やってみないとわからないことも多い)。
- フィードバックを素早くもらうことで次にどうするか考えることに焦点を当てる。
もちろん、事前準備は大事です。ただ、組織やチームによって複雑度は違い、わからないことも多いので、とりあえずやってみてその後にどうするかを考えることも大切だと思っています。
沈黙は悪いことではない
自分の性格上色々な場面でついついしゃべってしまうのですが、沈黙することも大切だと思っています(その場の目的やイベント内容などにもよりますが)。
沈黙することで以下のことに繋がります。
- チームの状態、メンバーがどのようなことを考えているかを注意深く観察できる
- 観察した結果から新しい学び・気づき、行動へのきっかけが生まれる
個人的には上記のメリット以外にも「ロール持ちが発言してしまうと、無意識のうちに圧がかかってしまう」ことがあると考えており、なるべく発言を控えることで、メンバー・チームで意思決定できるように心がけています。 また、メンバーの発言内容をメモすることで、メンバーの意見をさらに深掘りできるように質問を考えるように心がけています。 いい質問は議論を促進し、物事のクオリティを上げるきっかけにもつながるので、率先して話すのではなく傾聴し質問をするのが大切だと考えています。
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。今後新しくスクラムを始める人の手助けに少しでもなれれば幸いです! スクラムマスターとしてまだまだ未熟でチームに迷惑をかけてばかりですが、今後もチーム、組織、クラウドサインを利用していただいるユーザーに貢献できるように頑張っていく所存です。