弁護士ドットコム株式会社 Creators’ blog

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ふりかえりの場を作るために DPA(Design the Partnership Alliance)をやってみた

クラウドサインのフロントエンドエンジニア ツノです。

みなさんは Design the Partnership Alliance(略して DPA)についてご存じですか? DPA とは、スクラム開発でのふりかえりの場を作るために行うワークショップの 1 つです。この記事では、チームの形成期に DPA を実践して得られた経験を共有します。

DPA に取り組んだきっかけ

現在所属しているスクラムチームのメンバーと「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック(翔泳社)」の輪読会をしていました。

翔泳社が出版している書籍「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット」の表紙
アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック(翔泳社)

この本には、ふりかえりのためのワークショップが多数紹介されており、その中に DPA もありました。

私たちのチームが立ち上がったばかりの形成期ということもあり「どんなふりかえりをしたいか」や「ふりかえりのルール」について話し合うことを目的に DPA を企画しました。 この企画は、私と輪読会に参加している社内のスクラムマスターの二人で準備しました。

DPA とは

冒頭で DPA について軽く触れましたが、あらためて説明します。
DPA とは Design the Partnership Alliance の略で、ふりかえりの場を作るためのワークショップです。
DPA のゴールは「ふりかえりのルールを全員で作り上げる」ことです。自分たちで主体的にふりかえりの場を作る意識を持つことで、ふりかえりの質を高めます。

イラストでメンバー5人がディスカッションしている様子
ディスカッションのイラスト
DPA で決めるのは以下の 2 つだけです。

  • どんな雰囲気でふりかえりを進めたいか
  • その雰囲気を作り出すためにどんなことをするか

それぞれについての意見を付箋に書き、メンバーに共有します。
その中でメンバーが合意できた意見を、ふりかえりのルールとして 3 つほど決めます。
最終的に合意できた意見を視界に入る場所へ掲載し、合意した雰囲気や行動を意識しながらふりかえりを実施します。
全員が合意した意見だからこそ、ルールとして全員が意識できるものとなります。

準備

クラウドサインのスクラム開発では、リモートでの開発が基本なので FigJam でボードを用意しました。
リモートでの DPA を行う工夫として、各メンバーが合意しているか分かるように、ボードにスタンプを押して反応してもらうようにしました。
また DPA をスクラムメンバーへ紹介するための資料を輪読会のメンバーと作成しました。

事前に 30 分ほどスクラムメンバー全員の予定を押さえ、DPA の概要を伝えました。

figjamのボードに「スタンプ投票、いいアイディアと思った付箋の上にスタンプでGoodをお願いします。」とルールが書いてあり、下にアイディア例の付箋が掲載されている。
DPA 用の FigJam ボード

実践 DPA

当日は、以下の手順で DPA を実施しました。

  1. イントロダクション
    DPA の目的と進行方法を簡単に説明しました。
  2. 雰囲気の設定
    各メンバーが「どんな雰囲気でふりかえりを進めたいか」を付箋に記入し、ボードに貼り付けました。

    • 各自で付箋に意見を書く(2 分程度)
    • 意見を共有して合意する(8 分程度)

      • 意見を共有する際は、書いた人が率先して読み上げる
      • 意見を読み上げている間に共感できる付箋へスタンプを押す
    • メンバーが合意したものをルールとして決定する

  3. 行動の設定
    「その雰囲気を作り出すためにどんなことをするのか」を付箋に記入し、ボードに貼り付けました。

    • 「雰囲気の設定」と同様の作業を実施

実際に DPA を行ったボードが以下になります。 黄色いまるで囲っているものがチームのルールになりました。

figjamボードの結果。メンバー全員でアイディアの付箋がグループわけされてあり、Good評価がたくさん押されている様子。特出しているのは、ビールマークにたくさんのGood評価やハートマークが押されている様子。「気軽に言いたいことを言い合える」「ポジティブな会話で楽しく」「リアクション多め」が黄色い丸で囲われている。
DPA を実施した結果のボード

ボードの中央をみると、🍺 に多くのスタンプが押されている(同意している)のはチームの雰囲気を表していますね。 上記のボードを文面に起こしたものが以下になります。

  • 雰囲気の設定

    • 気軽に言いたいことを言い合える
    • ポジティブな会話で楽しく
  • 行動の設定

    • リアクション多めに‼️
      うまく言葉にできない「もやもや」な状態でもリアクションをしよう

この雰囲気と行動をルールとしてチームで合意できました。

DPA をやってみたふりかえり

DPA を実施してみたふりかえりとして、以下のような成果が得られたと感じています。

  • 全員が合意したルールをもとにしたため、納得感がある
  • ルールを自分たちで作り上げたことで、メンバーの積極性が向上した

企画協力&参加してくれたスクラムマスターから以下のフィードバックをもらいました。

チームの形成期に DPA を行うのはメンバー間でのコミュニケーション・期待値のすり合わせといった点でもいい機会でした。チームの傾向・気にしていることを知るきっかけにもなり、気づきが多いワークショップでした。
定期的に開催してルールを見直していくことで、チームとしてどんな変化があったかなど、気づきを得たいです。

今後は上記のルールをふりかえりのときに参照しつつ、全員が積極的に参加できるふりかえりの場を作れればいいなと考えています。
またルールは定期的に更新し、全員で決めたルールであることを再認識していきたいです。

まとめ

この記事では、私たちのスクラムチームがはじめて DPA を実施した経験とその成果について書きました。
気になったかたは、20〜30 分程度で終わるワークショップなので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。